仕事のあれこれ、京のあれこれColumn

新しい年がスタートしましたね。仕事始めを迎え、通常営業に戻られた方も多いのではないでしょうか。
お正月休みが明けて、さあ仕事モードにシフトしていこうかというこの時期、私の頭の中でにわかにめぐり始める言葉があります。

“商売繁盛　笹もってこい”

これは毎年1月10日前後に京都ゑびす神社で行われる「十日ゑびす大祭」の有名なフレーズなのですが、文字通り「商売繁盛になるから、とにかく笹をもってきてよ！」という意味で、お商売人にとってキラーワード。行かないわけにはいきません。
そんなわけで、この十日ゑびす大祭には毎年多くのお商売人と思しき善男善女が笹を持って参拝し、年初めの縁起を担ぎます。

日本三大えびすの一つ、京都ゑびす神社

ところでえびすさんといえば七福神の中でも商売の神として有名ですね。その霊験にあやかるえびす信仰は全国に多数ありますが、ここ京都ゑびす神社は日本三大えびすの一つ。
約800年前に同社のお隣にある建仁寺の鎮守として建立されたそうですから、すごい由緒です。

そんな京都ゑびす神社。

普段は大変に静かなのですが、ひとたび大祭を迎えると門前から四条通までの大和大路通には無数の露店が立ち並び、朝から晩まで笹を手にした多くの人で賑わいます。

参拝客が手にしている笹は「福笹（吉兆笹）」といって境内で買うことができるのですが、昨年の古い笹を納めて新しい笹を授与してもらうというのが習わしのようです（福笹1つ3,500円）。また、笹とは別に鯛や宝船、俵や熊手など、さまざまな意匠の「縁起物」も授与されていて、好みの縁起物を買って福笹につけていくのも同祭の楽しみです（1つ500円～）。

人を惹きつける引き寄せる縁起物「人気大寄せ」

中でもよく見かける縁起物が「人気大寄せ」。麦わらでつくられた傘に朱色や金色の折り紙をまとった人形が吊るされたもので、人気者になる、さまざまな人との出会いを呼び寄せるご利益があるのだとか。

小さいものは1つの傘に3体の人形が吊るされ、とてもかわいいのですが、大きいものはおよそ60の人形がブラブラと吊るされているのでやや不気味。
でも、どこかジブリ映画の登場キャラを彷彿させるユーモアがあって、思わず見てしまう、不思議な魅力があるんですよね。人気寄せとはよく言ったものです。

ちなみに小さい「人気大寄せ」は700円、特大は6,000円、あるいはそれ以上します。
よく飲食店の入り口などに飾られているので見かけたらその大きさをチェックしてみてください。その年の、店主の意気込みが垣間見えるかもしれません。

露店で１杯、そしてお土産には限定酒粕を

十日ゑびすのもう一つの楽しみと言えば、やっぱり露店散策。たこ焼きやお好み焼きなどの粉もんはもちろん、飴玉やチョコバナナ、お漬物やドライフルーツもあってバリエーション豊かです。

近年、私は店先で飲食ができる露店で、熱燗（ワンカップ）と牛すじ煮込みなどをいただくのが恒例になりました。お店のおっちゃんやおばちゃんと、各地の祭り事情などについてどうのこうのと話をするのも楽しいです。そしてひとしきり散策した後に必ず買って帰るのが京都ゑびす神社横の平野酒造で限定販売されている酒粕（1つ700円）。毎年、ここで買って帰った酒粕で粕汁を作って食べると、京都の厳しい冬を元気に乗り切れる気がします。

商売繁盛祈願と熱燗、そして酒粕。

新年も元気に仕事に勤しみたいものです。

■Information

京都ゑびす神社 Webサイト
http://www.kyoto-ebisu.jp/index.html

京都ゑびす神社 地図