仕事のあれこれ、京のあれこれColumn

2022.02.28

大河ドラマと京都

大河ドラマの舞台に選ばれること

大河ドラマが好きで、できるだけ欠かさず見ているのですが、思えば日本史や京都に興味をもったのも、この歴史ドラマがきっかけだったように思います。

初めてきちんと大河ドラマを見たのは中井貴一主演の「武田信玄」で、小学生のときのことでした。奇しくも当時、山梨県に住んでいたので、山梨が誇る武田信玄が大河ドラマになった!と、地元はおおいに沸いていたのをよく覚えています。

近所には「武田館」なる大型の撮影セットが建てられ、入館料を払って見学できるようになっていました。近隣の牧場で合戦シーンが撮影され、エキストラで駆り出された同級生のお父さんたちが甲冑姿で疾走。ドラマのオープニングで「協力 ▲▲村のみなさん」の文字を見たときは妙に誇らしく、ドラマの影響をひしひしと肌で感じたものです。今思えばバブルの時代背景もあって、お金の巡りも良かったんでしょうね。

がんばらなくてもいい京都

当時の山梨がそうであったように、令和の時代も大河ドラマの舞台に選ばれることは名誉なことで、さまざまな恩恵が受けられます。マスコミにゆかりの社寺や城跡が取り上げられ、観光客が増加。地域は潤い、活気がでる。オリンピックの経済効果とまではいいませんが、エリアによっては我が街へ大河ドラマを呼ぼうと気運を高める招致活動もあるようです。

一方、そんな活動を高みから見ているのが、ここ京都(あくまで個人の印象ですが)。京都は日本史上長らく政治の中心地でしたから、重要人物との出会いや密約、戦などの重要場面でおのずと京都が登場します。2010年「龍馬伝」や2013年「八重の桜」では、多くの時間が京都編に割かれていましたし、2021年の「晴天を衝け」では主人公の渋沢栄一が出張先の京都で妾をこしらえ、正妻に睨まれていたのには笑えました。登場人物が一度は訪れる地、それが京都なのです。

多くの人が注目する大河ドラマですから、京都が発信する、とりわけ行政が発行するような広報物にも影響があり、毎年のように大河ドラマの登場人物にちなんだ寺宝が公開されたり、特集が組まれています。少し大袈裟な言い方かもしれませんが、大河の動きを読めば行政などの動きも読めるような気がします。だから観光のお仕事で創業をお考えの方は、ちょっと意識すると商品開発やSNSなどの広報に効果的かもしれませんね。

2022年大河ドラマ 京都おすすめエリア

では、2022年放送中の大河ドラマ「鎌倉殿と13人」における京都の注目エリアはどこなのか。独断と偏見ですが、おすすめを紹介いたします。

幽閉中の源頼朝が主人公・北条義時を従えて挙兵するところから物語は始まり、平家滅亡へと追い込む源平合戦へと流れていく展開ですが、忘れてならないのが頼朝のライバル・平清盛、そして当時絶大な権力をもっていた後白河法皇の存在です。

武家の世の礎をつくったとも言える平清盛はもともと朝廷の用心棒のような人物でしたが、どんどん出世した末に「平家にあらずんば人にあらず」と、ぶっ飛んだことを言った人。京都にはゆかりの社寺や邸宅跡がのこされていますが、中でもおすすめは後白河法皇のために清盛が資材を援助して造営した三十三間堂です。また、その隣にある法住寺は後白河法皇の元離宮で、法皇の墓所があることでも有名です。実は2023年大河ドラマ・徳川家康ゆかりの方広寺も近くにあり、来年も注目エリアと思います。

ちなみに後白河法皇といえば、この世で思い通りにならないものは「サイコロの目と鴨川、そして叡山の僧」とのたまった豪傑。それだけ権力を誇ったという象徴的なエピソードですが、そんな後白河法皇を今回の大河ドラマでは西田敏行が演じています。一方、平清盛は松平健。こんな豪華な2人は見たことがありません。というかお二方ともあくが強すぎ & 坊主頭でなんか笑えます。2012年大河ドラマ「平清盛」では、清盛を松山ケンイチ、後白河法皇を伊東四郎が演じていたのですが、それを見事に超えてきましたね。今後もこの2人から目が離せません。

■Information

三十三間堂(“http://www.sanjusangendo.jp

法住寺(https://hojyuji.jp

Columnist

五島 望 Nozomi Goto / ライター・編集企画業

京都精華大学卒。東京で漫画編集者を経て京都でライター、編集企画業をしています。このたびSTART UP KYOTO運営事務局さんから「京都をテーマにコラムを書いて欲しい」とのご依頼を受け、筆を取りました。テーマがテーマですので武者震いしますが、知っていると京都の見え方、過ごし方がちょっとおもしろくなるかも、というような内容をお伝えしていけたらと思っています。お仕事の参考になれば幸いです。よろしくお願いいたします。

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五島 望 Nozomi Goto
ライター・編集企画業

京都精華大学卒。東京で漫画編集者を経て京都でライター、編集企画業をしています。このたびSTART UP KYOTO運営事務局さんから「京都をテーマにコラムを書いて欲しい」とのご依頼を受け、筆を取りました。テーマがテーマですので武者震いしますが、知っていると京都の見え方、過ごし方がちょっとおもしろくなるかも、というような内容をお伝えしていけたらと思っています。お仕事の参考になれば幸いです。よろしくお願いいたします。